結婚後もそれぞれの名字を、変わらず名乗ることをいいます。民法四編第二章によれば、夫婦はどちらかの姓に統一しなければなりません。どちらの姓を選択するかは自由なのですが、現実には98%の夫婦が夫の姓に統一しています。
しかし、女性のキャリアが認められ、結婚後も仕事を続ける妻が多くなりました。それによって、名字の変更を伝える相手がぐんと増えました。友人や親類のみならず、同僚、上司、取引先にも名字が変わったことを報告しなければなりません。
また、結婚というプライベートな事実をあえて公に出したくないという女性もいます。そういった女性は、会社の社報に載せられるのも嫌なものです。こういったことから、夫婦別姓を願う女性が増えています。
会社によっては、旧姓の使用を認めているところもありますが、正式な書類や手続きの場合は旧姓が使えないなどの面倒もあります。夫婦別姓には賛否両論があるようです。
現在の日本では夫婦別姓を認めていません。しかし実際に夫婦別姓という形をとっている夫婦がいるのも事実です。こういった夫婦には次の3つのタイプがあるようです。
世界には夫婦別姓の国がたくさんあります。例えば、カナダ(ケベック州)、イラン、サウジアラビア、シンガポール、スペイン、韓国、台湾、中国、ベルギーなどの国々がそうです。
カナダのケベック州では、個人主義と男女平等の精神から、結婚しても夫婦はどちかの姓に統一することができません。ただ子供が生まれた場合、その子供の姓は、夫の姓、妻の姓、両方の姓の3種類の選択肢から選ぶことができます。
韓国、北朝鮮、中国では、儒教の思想により女性は、嫁いだ後も一族の者として認められず、何事もその責任は実家にあるとされていました。一家の中で、妻だけが別姓で子供は父親の姓を名乗りました。
現在の中国では、「女性が天の半分を支える」と男女同権が浸透しているので、元来とは違った意味での夫婦別姓となっていますが、子供は習慣的に父親の姓を名乗ることが一般的です。韓国、北朝鮮ではいまだにかつての思想が残っているようです。
イギリス、イスラエル、オランダ、ハンガリー、米国の一部、ポーランド、南アフリカ、チリ、パナマ、フィリピンなどでは、妻は旧姓か夫の姓を選択することができます。特に国際結婚になると、日本の名字を残したいと思う女性が多く、ダブルネームやミドルネームとして手続きする人もいるようです。
また夫婦共に姓を選択することができる国もあります。ニカラグア、ポルトガル、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ロシア、ウクライナ、オーストラリア、ブルガリア、モザンビーク、フィンランドなどの国々がそうです。
女系家族の場合、妻に姓の選択がないと必然的にその家は途絶えてしまうことになりますが、これらの国では夫も妻の姓を選ぶことができるため、そういった家を守ることができます。しかし日本の婿養子とは少し感覚が違うかもしれません。
現在民法改正について議論が続けられていますが、現行の民法750条(婚姻時にどちらかの氏を選択しなくてはならない)を改正して、夫婦が望めばそれぞれの姓のままでも婚姻を認める制度にすることに関する決着は、法制審議会から民法改正の答申が出てからもう9年も経過するというのに、いまだについていません。
世論調査の結果、「夫婦別姓賛成派が反対派を上回った」という過去の事例もありますが、「家族関係が希薄になる」「三三九度の意味がなくなる」など自民党内でも反対の声が大きいようです。しかし、賛成派の中には「選択肢を増やしてあげたいだけ」「夫婦別姓を認めないと余計に事実婚が増え、三三九度事態がなくなってしまう」など的を得た意見もあり、両者一歩も譲らずといった感じです。
新しい内閣が形成された現在、今度こそ民法改正法案に決着がつくことを期待したいものです。